ひげんぬの書き捨て場

書きたいことを書きたいときに

【過去の演奏会から】2021年新国立劇場「ニュルンベルクのマイスタージンガー」<新制作> (2022/11/5)

自分のズボラな性格が非常によく表れていると思うのですが、
過去に鑑賞した演奏会で、鑑賞後レビューをブログに書こうと思ったものの、そのままほっぽらかしてしまい、気づけば下書きにかなり溜まっていることに気づきました。
そんなわけで、しばらく記憶を掘り起こしながら、過去に観たものを更新していくことになると思います。

まずは、こちら。

2021年11月28日(日)ワーグナーニュルンベルクのマイスタージンガー」@新国立劇場
【指 揮】大野和士【演 出】イェンス=ダニエル・ヘルツォーク【美 術】マティス・ナイトハルト【衣 裳】シビル・ゲデケ【照 明】ファビオ・アントーチ【振 付】ラムセス・ジグル【演出補】ハイコ・ヘンチェル【舞台監督】髙橋尚史
【合唱指揮】三澤洋史【合 唱】新国立劇場合唱団、二期会合唱団【管弦楽東京都交響楽団【協力】日本ワーグナー協会

●キャスト
【ハンス・ザックス】トーマス・ヨハネス・マイヤー
【ファイト・ポーグナー】ギド・イェンティンス
【クンツ・フォーゲルゲザング】村上公太
【コンラート・ナハティガル】与那城 敬
【ジクストゥス・ベックメッサーアドリアン・エレート
【フリッツ・コートナー】青山 貴
【バルタザール・ツォルン】秋谷直之
【ウルリヒ・アイスリンガー】鈴木 准
【アウグスティン・モーザー】菅野 敦
【ヘルマン・オルテル】大沼 徹
【ハンス・シュヴァルツ】長谷川 顯
【ハンス・フォルツ】妻屋秀和
【ヴァルター・フォン・シュトルツィング】シュテファン・フィンケ
【ダーヴィット】伊藤達人
【エーファ】林 正子
【マグダレーネ】山下牧子
【夜警】志村文彦

恥ずかしながら、通しでこのオペラを鑑賞するのは初めてでした。
そんな人間がワーグナーについて語ること自体が憚られるのですが、演奏そのものよりは、ワーグナーのオペラやマイスタージンガーについて語ってしまうかもしれません。

第1幕は、どういうわけだか正直退屈でした。
演奏も、意外とサラッと過ぎてしまうところや、まとまりのなさにサウンドの不安定さを少し感じてしまいところもありました。
これがあと5時間も続くのか、と思うとかなりしんどい思いがしました。
ところが、これがワーグナーの作劇法のうまいところなのか(?)、退屈な場所をあえて設けるのも非常に劇の筋書きをよく音楽に反映しているような気がしました。
それもそのはず、ヴァルターを除く騎士たちの歌は四角四面の歌ばかりを作り、あろうことか1幕はそんな歌が大半を占める。
だからこそ、2幕・3幕でウェイトを占めてくるヴァルターの歌が、粗削りだが魅力的で、光ってくるような感じがします。

このあたり、ワーグナーは盛り上げ方が非常に上手だな、と思うところです。
あえて苦行を設けて、ラストまでは一気に。
細部の描き方もさることながら、オペラ全体の構成の作り方が見事だなあと思うのでした。

そんなわけで、第2幕・第3幕は驚くほど速く過ぎていきました。
舞台にのめり込むようにして観れましたね。

演出に関してはたったひとつだけ。
最後の最後で肩透かしを食らわせ、さも意味ありげに目立たせてくる昨今の演出の仕方は、個人的な好みで言うとあまり好きではありません。

そして、ワーグナーのような壮大なオペラ鑑賞の醍醐味は、終演後酒とともに語らうことにあります。
いまでこそ、そんなことも復活してきましたが、このときはまだそんなこともできなかったな~ともはや遠い記憶を思い返すのでした。